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愛実ちゃんの木枯らしに泣く(ショパンコンクール 1次予選)

一次予選の小林愛実ちゃんのスタートはあまり恵まれていませんでした。
ひとつ前のコンテスタント、スーヨンキムははっきりと良い演奏をしていました。音は明るく、速いパッセージは美しく、チョソンジンに続くピアニストが韓国から出るのはではないかと予見させるものでした。(彼女も一次予選を通過しています。)
彼女のあとは不利、と正直思いました。

その上イスがあわない。人をよんで調整してもらうことになりました。(この判断は賢明だったと思います。しかしショパンコンクール、ピアノは調整するのに、なぜいすをあらかじめあわせてあげないのか…)

愛実ちゃんの一曲目はとても丁寧でした。ただ音の明るさはスーヨンキムの方が上か…
そうした思いが全てふっとんだのが木枯らしのエチュードでした。圧巻でした。
不思議なことです。私は愛実ちゃんが上手いことは分かっていましたが、自分の好きな曲でもある木枯らしでこれほど心に残る演奏をしてくれるとは思っていなかったです。
ピアノの世界でどちらが上か、と評価するのもどうかと思いますが、演奏の深さで、愛実ちゃんはスーヨンキムを圧倒していたと思います。
彼女の音が木枯らしにはまっていました。スタインウェイがあたたかい音色を奏で、彼女の音は高音も中低音も和音もきれいですが、彼女のメロディで枯葉が舞うようでした。
スケルツォも名演でした。コンクールははじまったばかりですが、優勝も射程に入ると思います。

でも、ショパンコンクールは楽しいお祭りですね。コンクールを経ずに一流ピアニストとなる人も多いといいますが、やはりこうしたお祭りは大事だと思います。
今年はレベルが高いのではないでしょうか?たくさんスターが生まれる予感がします。