サムシング

自分が今好きなことや気に入ってることを書いています

お久しぶりの愛実ちゃん

3月、小林愛実ちゃんの山口公演に行く。本人もインタビューで言っていたが、ママになった愛実ちゃんは、若い女の子らしい張り詰めた空気がなくなって、余裕が出てきたようだった。本質的な良さはまた別のところであり、それは変わらない。

私はあの研ぎ澄まされた空気が好きだったので、結婚前の愛実ちゃんを少し惜しんだ。ショパンコンクールの木枯らしに幻想ポロネーズ…というか全て、そして渡辺翁のアンコールで聞いたとてもゆっくりとした月光…。

ただそうじゃない今のほうが音楽的には正解なのかもしれない。愛実ちゃんは舞台で神経質あるいは不機嫌そうに見えることがあった。特にアンサンブルなどではそのほうが良さがはっきりするだろう。

 

彼女はショパンコンクールのような世界的なコンクールに挑戦できるだけの才能と野望を持った女の子でありながら、結婚や出産に憧れがあるようなところがあった。(あくまでインタビューを読んだ感想だが)そしてコンクール後のフィーバーの中で、仕事にこだわらず子どもを産んだ。一方でテレビではこれから何十年もピアノを弾くだろうとか、言っている。筋が通っていて、ドラマチックでもある。

まだまだ先を見たいものだ。結婚、育児、ピアノ全てが、誰もがそうであるように、きれいごとばかりではないだろうけれども。

 

 

 

 

 

 

 

チャイコフスキーコンクール

チャイコフスキーコンクールの配信(ピアノ)を見た。…やはりロシア音楽には圧倒されるものがある。

 

まず、ロシアっぽいピアノの弾き方、躍動感があって良いと思った。

オケもさすが、なかなか。

シマノフスキもマイナー作家と思ってたけど、結構いい曲書いてるなぁ。

 

こんなことを書くと、このご時世、プーチンの狙いどおりになってる、と言われるのだろうか。(もちろんプーチンを支持する気はひとかけらもない)

 

今回、日本人の黒岩さん田所さんが出場して、Twitterには割と強いコメントも出ていた。中には、参加者が少ないからチャンスと思ったのかもしれないけど私はそんな人とはお友達になりたくない、といったコメントも。

 

いや、私はそんな人とお友達になりたいけれども。

すごいやん。

しかもプリゴジンの乱とか起きてるし。

ご無事でなにより。

 

今回のナンバーワンの名演は

プリゴジン氏モスクワ進軍中に行われた二次予選、クリャンコさんのチャイコフスキー悲愴第3楽章(アドレナリンでまくり)

 

ナンバーツーは

黒岩さんのチャイコフスキーくるみ割り人形、3曲目。

 

ナンバースリーは

ショパコンでトップバッターだった(そして好演してたのにジンクス通り次に進めなかった)マオさんの、チャイコフスキーコンクール返り咲き、ファイナルのブラームスピアノ協奏曲第2番

 

いずれも審査員の評価は良くなかったと見えるが(審査員とはいつも意見があわない)良かったと思う。

 

優勝したダビチェンコくんは、音とか体型にロシア人正統派の可能性を感じた。

やはり一番目を引いた。

演奏は若いなぁと思ったけれども。

活躍してほしいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛実ちゃん結婚おめでとう!

新年からすばらしいニュースが飛び込んできた。

愛実ちゃん、反田さんとご結婚。

 

愛実ちゃんファンの私は写真などをみながら、愛実ちゃんはもてると推測していた。愛実ちゃんの周囲の男の優しい目。愛実ちゃんの音楽に愛と尊敬を持っているに違いない(推測…。)

反田さんも愛実ちゃんを特別大事にしていた。あれほどセルフプロデュースにたけているのに、ショパンコンクールのあとも愛実ちゃんが自分より目立つのもいとわず愛実ちゃんにあたたかいコメントをしていた。私は愛実ちゃんが優勝するべきだったと考える愛実ちゃんファンだが、その私が一度も反田さんにはいらっとすることがなかった。愛である。

だから、やはり連弾の相手としても生涯の相手としても、反田さん以上の相手はいないだろうと思っていた。けど恋愛はタイミングだからな…本当にこうして結婚するなんて良かった良かった。(何様だよ)

 

ショパ婚、という言葉があるが、逃げ恥や愛の不時着とは似てるようで違う。

前半ではショパンコンクールで同じ夢に人生をかけて競ったライバルだったのだから。結果に涙もしたはずである。でも後半で、結局ライバルたちはみんな仲良くピアノ界を盛り上げて、成功し、幼なじみは結婚した。その奇跡の後半がやはりすばらしいと思う。

 

この間、岩国で聞いたショパンピアノ協奏曲第一番はとても良かったし、愛実ちゃんはにこにこしてた。

公私共に充実してたんだね!と言わんでもない。

愛実ちゃんのコンサートに行くのがいちばんの楽しみのファンであるが、まず今は元気な赤ちゃんが産まれてくるのが楽しみだ。

はじめての子どもだから、愛実ちゃんは無理せずにコンサートも延期や降板してほしい。弾くにしてもドレスはやめて、暖かくしてほしいし…、寒い時期に長い旅程も心配である。

実際、妊娠しながらのコンサートツアーは過酷ではないかと思う。

ファンはまた産後にコンサートをしてくれるのを楽しみに待っている。ファンクラブもやめずにずっと待っているから、美味しくて栄養のあるものを食べてゆっくり過ごしてください。

 

 

秋のコンクールめぐりと次世代ピアニスト

ジュネーブ国際コンクールは、五十嵐薫子さんがファイナルに残ったそうだ。ファイナルは4人しかいない。ほぼ入賞のタイトルはもらったようなもの(とすぐ皮算用するわたし)

五十嵐薫子さんはショパンコンクールに出ていたのでその時ちょっと配信を見た。うまいと思った。だけどショパンコンクールは基本みんなうまくて、誰がうまくて誰がうまくないのか正直分からない。

今回のシューベルトインパクトがあった。シューベルトがうまい人はなかなかいない。2月に東京で200席くらいの小ホールでリサイタルがあって、まだチケットが取れる。昨日ほとんどとりかけたけど、子どもの顔を思い出してあきらめた。あれはプラチナチケットかもしれないな。なにしろショパンエチュードを3曲も弾いてくれるということだったし。

いや、本物ならそのうち絶対地方に現れるはず。まずはファイナルのコンチェルトが楽しみです。

 

同コンクールに出ていた進藤実優さんは、ショパンコンクールよりさらに良かった。音良し、テクニック良し、音楽性良し、三方良しの演奏だったが…タイトルはそう簡単にはもらえないようだ。私としては確実な実力を感じた。

 

11月になるとパデレフスキコンクールが始まり、そちらには牛田智大くんが出る。彼は100年に一度の天才と中村紘子から言われたらしいが、でも本当に彼のピアノは気持ち良い…。若干イージーリスニングなときもあるけど。国内での人気は十分だが、賞を取って海外でも活躍してほしい(この円安だし)

牛田くんと同じパデレフスキコンクールに出る予定の奥井紫麻ちゃんも気になる。今の10代も人材が豊富である。

ルービンスタインコンクールは古海行子さん、黒木雪音さんの二人が出るようだ。この二人は先生が競わせて育てる方針なのか?(高杉晋作と日下玄瑞のように)

高坂さんのガイドを頼りにわたしも配信を聴こう。

 

 

小林愛実の宇部凱旋コンサートいった

日曜日は、小林愛実ちゃんの宇部凱旋コンサートに行った。会場時間よりかなり前から、会場の渡辺翁記念会館にぞくぞくと集まる宇部市民。

着物のおばさま方に、子連れのお父さん(宇部市の企画で小学生が無料招待されており子どもが多かった。保護者は有料)会場は本気の満席であった。


プログラムは前半が24の前奏曲

ショパンコンクールの3次予選で長い長い拍手が起きたという愛実ちゃんのおはこである。ただ山口公演から3ヶ月ぶり聴いたが、まるっきり同じでもない気がした。(良い意味で)

今回はまた心に沁みた。

特に雨だれのはじまりは優しくて素敵だった。


後半はスケルツォ1-4番。

スケルツォ1番が素敵で、終わった時には我慢できない観客の拍手が入った。

幸せなこどものうたのようなフレーズが、シューマンのこどもの情景のような、独特の幸福感で歌われて。

その後もスケルツォ全てが素敵で、拍手しちゃうよね、と私は思ったが、都会の演奏会だと通して聞いてるもんなのだろうか?(しないものだとあとで聞いたので)すみません。


愛実ちゃんは宇部市のなんとか大使になったそうで、演奏後は(出たがりな)宇部市長が出てきて、ひまわりを中心に黄色でまとめた大きな花束を手渡していた。

アンコールは幻想即興曲、これで終わりかと思いきや(そういう身振りだったが)ベートーベンの月光。

幻想即興曲も良かったが、月光はまた良かったなぁ。涙が出てきそうな叙情性。

超しっとり。

インスタグラムをみてもそんなにベートーベンを弾いていない気がするのだが、山口ではわりとベートーベンを弾くのは思い出があるのだろうか?

山口公演の悲愴の第2楽章もちょっと忘れられないくらい良かったし。

でみんな感動して拍手したら、さらにワルツも弾いてくれたのだった。

最後はスタンディングオベーションで愛実ちゃんをたたえる宇部市民。


愛実ちゃんのピアノはしっとりきれいで、コンサートはハズレがなく、疲れもなく、ああいいピアノを聞いたとさわやかに最高にハッピーだ。

最初企画をみたときは、子どもが100人だか200人だか招待されるというので、騒がしくしないでよと思ったのだが、いい演奏というのは子どもにも分かるのだな。雰囲気も良かった。

もしこの演奏を聴いてピアノを頑張る子がいたら!


昨日の愛実ちゃんの演奏は、ハッピーな部分がこどものしあわせのように歌われるのが印象的だった。陰より陽がより素敵に聴こえ、愛実ちゃんは幸せなのかな、と思った。


愛実ちゃんは是非また宇部でコンサートをしてほしい。次はエチュード10-4、木枯らし、幻想ポロネーズも聴きたい。ベートーベンのソナタもいいな。調布や北九州で弾いたというバッハも聴きたい。

地元なんだし、50年計画で毎年6月にコンサートをやったらいいのにな。そしたら1年も欠かさずに通い詰めたい。


余韻にひたりながら、昨日はシューマンのコンチェルトの録画をみなおし、今日はコンサート会場で手に入れたショパンコンクールのライブ録音を聴いているのであった。


中古ピアノの話

うちのピアノはヤマハ1970年製だ。当時のヤマハの一番良いグレードのアップライトで、手前味噌ながら、鍵盤が重すぎず軽すぎずとても弾きやすいし、低音も高音もきれいな音がする。

それが新聞広告の中古引き取りでは、なんと最高3万円!

正直、この手の新聞広告を見てあまり良い気持ちになれない。またネット上も中古ピアノについて、おかしい意見が多い気がする。

①まず、ピアノは経年劣化しない。(調律師さんもずっと弾けると言っていた)うちの1970年製ピアノは母が大事にしてきたこともあり、劣化はない。オーバーホールの必要性なんて微塵も感じない(全然いじりたくない)何もかも私が子どもの頃と変わっていない。

②おそらく古いピアノの出来は良い。1970年代のピアノは良い木材が使ってあるらしい。なんと言ってもヤマハさんとかカワイさんとかが生きていて、また日本人のとびきり器用な人たちが精密に木を削ったり組み合わせたりしていた時代なのだ。だいたい見た目も品が良い。楽器店の新しいピアノと比べても鍵盤もふたもどこかよくできてる。

③新聞広告の中古ピアノの引き取り、あれは着物や宝石と一緒で贅沢品を断捨離の名の下に買い叩く、仕手筋の商売にちがいない。古いピアノは価値がない、値段はつかないが無料で引き取ってあげる、などなどは商売のための悪質な風評だ。


ピアノを3万円で売る…そんな値段でピアノ安く買い叩かれて中国やロシアに売られて行って、悪徳業者が儲かって、日本に何が残るのか?

本当に貧しい国になってしまうのではないか。


私はピアノを大事にしていきたいと思う。







for four hands

おばより

「愛実ちゃんは反田くんが好きなのではないか?」 

と聞かれた。


それは…ないでしょう。少なくともショパンコンクール前後をみるにはない気がする。

今は分からないけど。

過去も分からないけど。

実際のところはファンには分かりかねます。


ただこのカップルのDUOはいける…12月8日のDUOリサイタル録音を聴いてそう思った。(ベストオブクラシックでやったらしくyoutubeにあります)

これは認めざるを得ない(笑)


最近思うのだが、ピアノ連弾はマイナーな分野だが、深い。

作曲家にとって、オケに近いのだろうか?ハイドンバリエーションやドヴォルザークの新世界、どちらも作曲家本人によるピアノ連弾の楽譜があり、しかもその印象はオケと変わらない…画家が同じ構図で水彩画と油絵を描くようなもの?そんな感じがする。


そして、2人で音楽を作り上げる…そこにロマンがあるなぁと思う。


反田さんと愛実ちゃんは結構息が合っている。一見けんかしそうなのに、お互いに相手を上手にたてている。他のDUOをいろいろ聴いてみるとよく分かる。

連弾では愛実ちゃんの欠点であるややパワーにかける部分が気にならなくなる。反田さんの欠点であるややロマンチックさにかける部分も同様。


シューベルトの幻想曲はこの間のカーティス音楽院の卒業リサイタルで、リウ教授と師弟で行った演奏のほうが完成度が高いと感じた。

が、反田さん愛実ちゃんも悪くはない!ポテンシャルは高い。


母はこの曲についてはデュオクロムランクが忘れられないようだ。

平成6年に山口の片田舎にアルゲリッチやミッシャマイスキーとともにきたこのDUOの演奏は、夫婦による完全に息の合った演奏で、その精緻で高い完成度と張り詰めた緊張感とともに忘れられない演奏として母の心に刻まれたという。

しかし、その数ヶ月後、夫婦は自殺してしまう。

二人はとても説得力のあるCDを出し、キャリアの頂点にいたが、関係性は悪くなっており、今後の活動についてももめていた。夫が先に死に、それを見つけた妻があとをおったようだ…。


この夫婦はそれぞれ個人としては有名ではなく、DUOとしてその頂点を極めたという点で、DUOの夢とロマンがあり、またその心中を思い起こす最期はDUOの闇のように感じる。まぁ燃え尽き症候群により突発的事故だったのだと思いたい。(今時流行らなそうな話ではあるが、それこそ映画になりそうな…とにかく二人の音楽はすばらしい)


まぁ愛実ちゃんと反田さんなら、例えDUOを組んで、何かの拍子に結婚したとしても、けんかの末自殺することはなさそうに見えるから安心だ。


あとはガジェヴと組んでもいいなぁ、とか思うのであった。